流血女神伝 喪の女王 8巻(完結)

シリーズ27巻にわたる流血女神伝、これにて完結です。完結巻だけあって分厚いのはお約束。その分読み応えたっぷりでしたが、それでも「ちゃんと最後まで終わるの?!」という怒涛の展開でした。実は近所に売ってなかったから7巻読めないままだったんですが、まあなんとか脳内補完して話はわかった。特に新しい登場人物もほとんど出てこなかったことだし。それぞれの人物が終結に向けて、いろんな局面を迎えます。もちろんあの人もあの人も。嬉しい誤算もあったりして…。思うことは色々ありますが、ああ、終わったんだなぁとしみじみ感じました。終わり方、もっとみんなみんなハッピーエンドにできただろうし、もっとつらい終わりにも出来たはず。けどあえてこの終わり方なのには意味があると思います。途中まで「ひどすぎるよ!」とか思わないでもなかったですが、最後の1行まで読んで、いい終わり方だと思いました。ちゃんとハッピーエンドというか…みんなまとめてハッピーとは行きませんが。あとカリエの最後の伴侶も誰になるかわかりますし。少女小説ファンとしては、ここは気になるところですよね!
番外編的作品(天気明朗〜と女神の花嫁)は実は読んでないので、再読するときに一緒に読もうと思ってます。その前にキルゾーンもブルブラ併せて読みたいですしね…。流血女神伝はこれで終わりだそうです。ただ、次の世代の話はいつか書きたいとのことで。私としてはカリエとあの人の馴れ初めとか、いろいろ読みたいんですが、一番気になるのはフィンルのその後です。彼は案外、次の世代で活躍してるような気もするんですが…。(なんか黒い意味で)
宗教や政治まで細かく設定した舞台での大河ドラマ、素晴らしかったです。須賀先生お疲れ様でした。次回作も楽しみにしています。

以下、ネタバレのため平気な方のみ。


この巻はとにかく泣かされました。3度大泣きしたんですが、そのうち2度がグラーシカ絡みです。もう本当に彼女は高潔で、けど本当はもろくて、美しい人でした。ドミトリアスと過ごした最後の1夜とか、国母として祖国であるユリ・スカナと戦い散る様など、涙無くては読めません…。彼女には生きて、ドミトリアスと次の時代を生きて欲しかったと切に思います。ということで私はサラが嫌いでしたが…。そういえばいつか敵になっちゃうんじゃ…と思ってたミュカは最後までドーン側で安心しました。まぁ裏切ったといえば裏切ったんでしょうが…。ドミトリアスはあのシーンで本当に死んじゃったかと思いました。ザカリアがタイアスを赤子に返して去っていったからこそ、ドーンはタイアスの化身である呪縛から解き放たれ、死から開放されたのかもしれないですね。
最後はやっぱりエドとくっつき、超満足です。やっぱりなんだかんだいってもエドですよね! 当初はミュカがいいなぁとも思ってたんですが…。すっかり下町の夫婦のような二人ですが、こんだけ流転しながらもそういう生活に落ちつけるのがカリエの強さでしょう。イーダル王子もマトモになって本当に良かったです。彼はきっと結婚したり、子孫を残したりということはないんでしょうが。アルガがいるから大丈夫ですね。あ、戦友であり宿敵を失ってしまったトルハーンのその後も気になりますね。そう考えるとその後の話一杯かけると思うので、須賀先生のは本当に続編書いて欲しいです。