煙か土か食い物

11月から人事異動で職場が変わりました。(営業嫌で異動希望出したんだけど)で、今まではお客さん来なきゃみんなでわいわいご飯食べてたんですが、今回の移動先では友達もおらずロンリー昼食。1時間ご飯で時間を潰すのはきついしかといって短時間で戻るのも嫌だし…つーことで暇つぶしに買いました。初・舞城王太郎

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)

この人がデビューしたとき、このタイトルに惹かれたのは事実なんですが、なんかメタっぽい雰囲気を感じて(目フィストだし)ちょっと手が出なかった。というのも私は清涼院流水の「コズミック」にやられてしまって、もうあんな文章を読むのは無理なんや!と軽くトラウマだったから。(しかし今考えたらあれはあれで楽しめるような気がしてくるから時の流れってのは怖ろしい) で、その後「九十九十九」なる本を出しちゃったときに、ああ、やっぱりあの時舞城読まなくてよかったんだー! と思ってたわけです。(※「九十九十九」とは清涼院流水の作品に出てくるメタ探偵) しかし先日、知人から「文学賞メッタ斬り!」を借りて読んでから、こりゃ舞城王太郎読まねばじゃね? という強迫観念に囚われるようになり、結局文庫版になってたのをいいことに手に取ったというわけです。
感想としては、当初想像してたのとはまったく違った話だったということ。タイトルからどういう内容なのかと具体的に想像していたわけではなかったのですが、まさかこんな話だったとはなぁ。清涼院系だとは思わないけど、まったく違うジャンルとも思えない。面白かったかといわれると、面白くなかったような気がするけど、なんかパワーがあった。そんな感想です。だいたい主人公の俺様的な一人称が気に食わなかったんですが、読んでるうちに俺様一人称と実際のギャップがなんか可愛くなってきたんだけど、やっぱり主人公を好きになることはなかった。一人称ではバリバリ記号的な性格っぽいんだけど、現実で発する言葉とか、態度とか、そいうのはなんか等身大のような気がする。ストーリーもミステリっぽいんだけど別に読者に謎解きをさせるとかそういう態度ではなくて、主人公のキャラ付けを強める装置のような感じ。結局シンプルに言ってしまうとキャラクター小説で家族愛を書いたの…かなぁ。
とりあえずこれだけでははかり切れなかったので、もう一冊くらい読んでみようと思います。次読むならやっぱり「阿修羅ガール」なのかな。でも自分の好きなタイプではないなぁ、と感じてもいる。