神去りなあなあ日常

神去なあなあ日常

神去なあなあ日常

高校を卒業したての都会の少年が、ド田舎に放り込まれて見つめた1年。うん、読みたいものが読めたという満足感があります。林業の話、という前知識しか持たずに読み始めたので、最初は林業を学ぶ高校の学生生活だと思ってました。神去村はいいところ過ぎるんだけど、お話としてはこのくらいのフィクションぶりが良い。田舎っていいところもあるけど、人間関係の煩わしさとかがあるだろうから、合わない人には苦痛でしょうね…。その点、主人公は流されやすい性格が幸いしたのか、素直なところを多分に持ってたのがよかったのか、周りの大人たち+山太くん(5歳)と上手くやっていけてよかったです。自然の美しさに素直に感動したり、ほのかな恋をしたり。これ!という事件があるわけではないけれど、読んでいて楽しかった。周りの大人たちもいいですよね。豪快な性格のヨキ、穏やかだけど決めるときは決める親方の清一、優しいお父さんのような先輩巌さん、まだまだ元気なおじいちゃん三郎さん。そして大活躍のヨキの飼い犬・ノコ。ノコ可愛いよノコ。ノコがしょんぼりしてるのを、ヨキたちがどうにかしようとするエピソードが大好きです。女性陣も良かったですね。ヨキのお嫁さん可愛い。時々現れる神様関係のお話は『白いへび眠る島』に通じるものがあるなあと思いました。こっちの神様はずいぶんと優しそうですけど。主人公の一人称で進むので、最初はどうだろう? と思いましたが、読みやすかった。やっぱり三浦しをんさんの小説好きです。他の作品も読まなきゃなあ。