tsunamix

tsunamix (KC KISS)

tsunamix (KC KISS)

待ちに待った海野先生の短編集であります! 書店で「回転銀河」と並んで置いてあるのを見て、心の中心でつなみを叫びました。初出の雑誌がばらばらで素敵な感じ! 表紙も「mix」っぽくていい感じ! 大絶賛です。しかし未収録作品はまだあるわけで…。連載作品ですらコミックスになってなかったりするわけで…。前に早稲田ちえ先生の作品が文庫化になったから、海野先生のもならないかなぁ。でも講談社の文庫本は背表紙がちょっとダサいのでそれもいやだなぁ。(好きなのは白泉社。見慣れてると言うのもありますが)短編集なので、1作品ずつ感想。

■たまごやき
親戚がつくった借金のかたに、「卵子」を売らなきゃならなくなる話。カンタンに「生理」というけれど、あれは子宮が卵の部屋を用意して、いらなくなった排泄物なんですよね。そうならったはずなのに、なぜか「卵」のことを忘れている私たち。月に一個だけだけれど、定期的に「卵」を生み出す私たちのからだ。不毛なんだけど、なんだか愛しくなる。そんな話です。それにしても解説に書いてあった「男性は卵子には興味ないんですよ」っていう話…。男はもっとハイペースに精子つくってるから、大変だな。

■奇跡の春
テーマとしてはそんなに奇抜なものじゃないんですが、海野先生はテーマそのものよりも、日常的な描写とか、ふとした会話のやり取りとか、アイテムの使い方がうまいのでオケ。やっぱり少年の目に映るのは、ライオンじゃなきゃね。しかも「ナルニア国物語」って…素敵だなぁ。

■世界の終わりに君を想う
海野作品の中ではかなりの異色作。ホラーっぽい話です。ホラーと言うよりは集団心理か。実は元ネタは「忠臣蔵」だと書いてありましたが、私はセーレムの魔女裁判を思い出しました。ネームの配置の仕方、というかラストが泣かせやがる。

■両手に愛をつかめ!
あ〜っ絵柄ともども、初期のつなみ作品って感じですね。テーマ、話の運び方自体はフツーで地味めでしょうか。主人公の父が凄いですよ。

■リフォーム父さん
タイトルのまんまです。妻に先立たれ、今は一人暮らしの父。どんな生活をしているんだろう…と主人公が久しぶりに里帰りすると、父はリフォームに凝っていた…しかもアロハ風。そんな父に強引に、自分の部屋もリフォームさせられる話です。美人の店員さんも登場するのに、恋愛要素一切なし!素敵! この作品集の中で一番好きな話です。(別に恋愛要素がないからではない)なんか自分もリフォームしたくなるよね! そのまえに掃除だけどっ! 前にあった掃除の話(こっちは恋愛要素あり)にも通じるかんじです。いいなぁ。掃除しよう。

ツナミックス、海野ファンにはオススメです。海野初心者にはちょっと垣根が高いかもしれない…かな。ああっでもステキ!