回転銀河 3巻

回転銀河(3) (KC KISS)

回転銀河(3) (KC KISS)

少女よ、少女漫画と銘打ったエロマンガを捨てよ、回転銀河を手に入れよ。

海野先生は高校時代から遠ざかっていくのに、どうしてこうも女子高生の内面を美しく描けるのか。それは多分海野先生が胸に少女を飼っていて、それを掬いだすことに長けているからだ。とはいえ海野先生が乙女チック、だなんて言うつもりはない。多分、女はいつまでたっても少女を胸にひっそり飼ってる生き物で、普段はそういうのを隠しておくんだけど、やっぱりいるんです。そういう「乙女ゴコロ」をそっと掬うのが多分上手なんだ。

今回は「美形で毒舌な(でも本当のことしか言わない)双子」の登場で、2巻までに比べると「普通の高校生活」とはちょっとかけ離れてますが、それでもそれは設定上のことで、少女はやっぱり少女なのです。「処女?」と不意に聞かれて、「相手と気持ちとタイミングが揃えば明日にでもやってやるわよ!」という潔さと、キスをされたあとで「わたし達、親友になりたいのかも」という美しさ。性的描写を徹底的に排除した昔ならではの少女漫画でもない、いかに衝撃的に、読者を攻撃してやろうかと思っている現代のエロ少女漫画でもない。少女マンガってこんな作品じゃないのかな、といつも思うのです。もしかしたらそれは、一般的に「少女」と呼ばれる時期を過ぎてしまった女が感じる、一種のノスタルジーかもしれないけれど。なんか「恋っていいなぁ」と思える1冊なのでした。既刊も嫁!

ちなみにエロは嫌いじゃありません。むしろ大好きです。ただ、エロを求めるなら男性向け読むからなぁ…フツーに買える人間だし。あとエロ少女漫画のシチュで多い、最初はムリヤリ…! みたいなの。あれは相手が美形だから許されるのと、(本当は合意なんだけど)ムリヤリっていうシチュ萌え☆ ってことだから、世の中の男性は勘違いしないように。多分根っこのとこではホモエロ好きとエロ少女漫画好きはつながってるんですよね。どっちも大切なのは「求められてる感」だと思います。ホモだと「俺、男の子だけどそれでもいいのか…?」ってことで(だからホモマンガ、ホモ小説の設定はどっちも性的嗜好がノーマルがデフォ)エロ少女だと「こんなに、なんのとりえもない私を求めてくれるなんて…」ってことであります。なんか話脱線したね。

とりあえず海野つなみ先生の本は全部そろえましょう。入手困難本は頑張って古本屋さんでそろえましょう。

補足
ここで書いていたエロ少女漫画というのは少女コミック系を主に指してるわけですが、恋愛の過程としてセックスを描くマンガではなく、セックスをメインに話が進んでいく作品(平たく言うとまゆたんとか真芯たんの作品のことなんですが)のことを言っています。私的には少女漫画の世界から始まったBLが一巡りして少女漫画の世界に帰ってきたらエロ少女漫画ができましたよ、ということなんだと思ってるんですが、どうでしょうか。