アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭

アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 (アンゲルゼシリーズ) (コバルト文庫)

アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 (アンゲルゼシリーズ) (コバルト文庫)

須賀しのぶ先生は、私がコバルトで唯一読みつづけてる作家さんです。(読んでない作品もありますが) 須賀先生の作品は他のコバルト作品とちょっと変わっていると言うか…ちょっと骨太なんですよね、物語が。それは喜ばしいことなんですが、ラノベレーベルで書いたらもっと皆に読んでもらえるんじゃないかなとも思います。男子はコバルト買いにくいですよね。まぁマリみてがあるから平気か。
そんな須賀先生の新シリーズは、あらすじを読んだ限り現代ファンタジーっぽくって、絵柄も今っぽいし「須賀せんせいもとうとう本気で『恋気分いっぱい(はぁと)少女小説』の着手に入ったのか…!」と思ったんですが、本編を読み進めてみたらいきなり軍事訓練とかやってて、ああ、いつもの須賀先生だぁと安堵しました。舞台も現代ではなく、昭和から続き、「継和」という異なる時代の話。そこでは徴兵制度が存在し、義務教育機関での軍事訓練も義務付けられている世界。主人公の陽菜は、須賀作品には珍しく、大変おとなしく引っ込み思案な少女です。この世界では奇病「天使病」が発生し、感染した人間は骨が変形し、肩甲骨が羽根のように盛り上がることからその名がつけられて、大変恐れられています。が、稀にそのウイルスを克服し、進化した「アンゲルゼ」と呼ばれるニンゲンがおり、この世界ではそのアンゲルゼと人類が戦ってるようです。
と、歯切れが悪い説明なのも、この巻ではまだまだ舞台の設定が整ったくらいで、あんまり物語りの核心には触れられてません。おとなしかった陽菜は、巻末の頃には須賀ヒロインの片鱗を見せています。来月新刊が発売ということで非常に楽しみです。ツンデレ少年の気持ちも気になる。私は強いヒロインが好きなので、陽菜にももっと強くなって欲しいです。