風が強く吹いている

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

寄せ集めの10人で、箱根駅伝を目指そう。(ちなみに陸上経験者は2人のみ) そんな無謀にも覚える目標に向かう、竹青荘の住人達の約1年にわたる物語。最近陸上ものを続けて読んでる気がしますが、非常に面白かったです。キャラクターがそれぞれにきちんと描かれていて、10人すべて自然と覚えられるのがすごい。だいたいこういう話って、1人か2人くらいは印象に残らないキャラクターがいるものだとは思いますが…。私が最後に印象に残ったのはキングです。途中までは結構影の薄いキャラクターだと思ってたんですが、自分と重ね合わせてしまったせいか、最後グっときました。
映画化が決定してるみたいですが、2時間は短いと思うので、ドラマか1クールのアニメにしてもいいなぁと思います。アニメにもしやすそうな設定だし。とりあえず来年の箱根駅伝はまじめに見ることに決めた! しかし文庫版が出て手に取りやすくなりましたが、あの素晴らしい単行本の装丁画は残しておいてほしかったなあ…。文庫だと背表紙に絵が入んないのでしょうがないとは思いますが、あれは折りたたみのカラーイラストを巻頭に持ってきてもよかったと思うよ。↓(単行本)
風が強く吹いている

風が強く吹いている

普通に考えればありえない話だとは思うけど、解説を読んで、作者の伝えたかったことを読んで納得しました。この話では天才長距離走者の走や、苦難を抱えるハイジが主役なのではなくて、やっぱり10人がそれぞれ主役なんだと。最後の試合(っていうのかな?)の描写が素晴らしいと思うのは、1人1人が「走る」ということ、「自分」というものに向き合うからなんだなーと思いました。夢のような話だけど、物語なんだからいいんじゃないかな。