リンガフランカ

リンガフランカ (アフタヌーンKC)

リンガフランカ (アフタヌーンKC)

帯に書かれた「笑か、死か」という衝撃的なコピーは伊達じゃありません。
主人公の笑太は有名な落語家を父に持ち、弟は立派な噺家として活動しているのに比べ自分はぱっとしないピン芸人。心機一転のキューピー髪型で彼女の家を訪れれば「才能ないよ」と一刀両断に振られてしまう。そんな笑太が腐って一夜を過ごしたファミレスで見たのは、父の自殺という突然のニュースだった。
葬儀の場からいたたまれなくなった笑太はまたあのファミレスに足を運び、そこで出会った変な男・岸部。その男に拉致されて向かった先は○M(マルエム)グランプリという、若手漫才師のトップを決める大会の予選会場で…。
最近落語とか漫才とかお笑いブームらしいですね。私はあんまりテレビを見ないので、最近の若手さんはさっぱり分かりません。そしてこの作品、パッと見た感じは若手お笑い芸人のサクセスストーリーかと思われるかもしれませんが、「笑い」をツールとした、不器用な人間同士のドラマが描かれています。笑太は笑いが好きなのに、自分自身に対して自信が持てず、自分を相方として選んだ岸部に対しても「なぜ自分なんだろう」と信じきれずにいる。一方、岸部のほうも「笑い」以外の人間関係についてはサッパリという人間。そんな2人が舞台を経るごとに、少しずつ分かり合っていく様が描かれています。(というか笑太が岸部に対して歩み寄っていく描写が多いんですが、岸部も最終回のセリフで笑太に信頼を寄せていることが分かる) まさに「リンガフランカ」のタイトルにふさわしい内容でした。リンガフランカという言葉の説明については本編で出てきますので、そちらをご覧ください。久しぶりに何度も読み返した本です。
そんでやっぱりコンビは萌えだということが分かりました。あんまり書くとネタバレなんで言わないけど、岸部はもう笑太がいないと生きていけないんじゃないか? と思うほど。笑太も岸部がいれば幸せそうだし…もうお前ら結婚しちゃえよ! でもこの2人はプラトニックな気がしますよ。というか希望。妹ちゃんはカッコイイ彼氏を見つけて、時々2人の家を訪れそうな気がする。んで笑太の弟はやきもち焼きそうですよね。いい話なのに腐ってる。お笑いマンガといえばこちらもおすすめ。残念ながら新品で手に入れることは不可能だと思いますが、古本屋に行けばたまに置いてあるので発見したら読んでみてください。こちらはリンガフランカとは違い、全編コメディ風味です。ホモネタもあるよ。基本的には主人公と好きになった女の子が基軸となるラブコメです。こちらは海野つなみ先生らしく、小ネタが面白い。