DIVE!! 上下巻

DIVE!! 上 (角川文庫)

DIVE!! 上 (角川文庫)

久しぶりに手に汗握って、一気に読んでしまいました。元はといえば、「鴨川ホルモー」が文庫化されてるのを知ったので本屋に行ったら置いてなく、代わりに…と以前から読もうと思っていた本作を手にしたのがきっかけです。
私はヤングアダルトとか、ジュブナイルとかそういう要素を含んだ作品が好きで、これも中学〜高校生くらいに読んでほしいと思う。読んでほしいと思うのは、私がその当時こんな小説を読みたかったから。もちろん、大人が読んでも十分以上に楽しめる。
舞台は経営難で閉鎖が危ぶまれるダイビングスクール。主役は3人の少年。オリンピック選手だった両親をもつ生粋のサラブレッド・要一、「ダイヤモンドの瞳」を持つと称される和季、荒波の海に飛び込み続けてきた無名の少年・飛沫。そして謎の帰国子女コーチ・夏陽子を向かえ、ダイビングスクールの存続をかけたオリンピックへの挑戦が始まる青春小説です。
おそらく少年漫画だったら、主人公になるのは和季か飛沫でしょう。和季は最初は闘争心のない、おとなしい少年として描かれています。それが夏陽子の登場と、ある事をきっかけに天賦の才能をぐんぐん目覚めさせていく。飛沫はワイルドで、荒削りな飛び込みにも人の目をひきつける何かがある。対して要一はガラスの仮面で言うところの亜弓さんタイプというか…登場時は血統による天才性を感じさせながらも、実は誰よりも努力の人(もちろん他の登場人物も並々ならぬ努力家です)で、一番人間臭く感じます。前半ではダイビングスクールのまとめ役というか、「先輩」として描かれることが多いですが、後半からは内面描写も増え、ぐっと感情移入してしまいまいした。夏陽子は天才コーチなんですが、彼女の性格もいいですね。脳内でついつい、おお振りモモカンに変換してしまいました。他の脇役もみんないい味だしてました。特に最後に出てきたあのライバルキャラ…美味しいところ持って行きすぎです。読後感も最高の作品でした。次は「ラン」あたりを手に取ってみようと思います。