ミミア姫 1巻

発売からずいぶんと経ってるんですが、なんか漫画が読みたくて、でも読みたい漫画がなかなか無くてこれを購入。(アフタヌーン購入してるので、既読だったから未読の漫画読みたかったんですが…)働き始めて、お金が稼げるようになって、何が困るってなかなか読みたい本に出会えないことが困ります。昔は「本は沢山あるのにお金が無いから読めない」と思ってたんですが、現在は本当に読みたい本というのは限られて。もちろん世間でオススメされてるような本が面白いのは分かるんですが、本当の本当に面白い本ってのはそんなにであることが出来ないと思う。でもそんな本に出会いたいから、私たちは読むのを辞められないわけですよ。まぁ本を読みたいと思うその気持ちの指向性も、時と場合によっては全然違う作品を求めたりして。本を読むことっていうのは、私たち本読みにとってみればごはんを食べるのと一緒ですよね。毎日同じ味じゃ飽きてしまうから、辛いの、しょっぱいの、甘いのいろいろ食べてみたい。多分この「ミミア姫」は甘くてふかふかの食べ物。
世の中奇麗事だけじゃわたっていけないんだよ、と思いつつ、奇麗事を全然聞きたくないわけでもないんですよね。むしろフィクションであるからこそ、そこに奇麗事があって欲しいというか。とはいえ斜に構えたクソガキだった時代にこの本を読んでも「ケッ」と思ってしまうのが関の山なんでしょうけど、今読むととても癒されます。スローフード的。ゆったりした時間を柔らなペンタッチで描いたファンタジー。ひとりのお姫様の物語で、1巻はプロローグで物語りにさほど進展はありません。でもここに描かれるキャラクターたちのあたたかさ。特に、1話目のミミアが生まれてから元気な子供に育つまでの両親や他の人たちの愛情には、雑誌掲載時から何度も泣かされています。全体的に白っぽい画面の作品ですが、その余白がこの世界の柔らかさを表現しているよなぁ。
大人にこそ読んでもらいたい、童話のような漫画です。